引き返し編み考6~真打ち!ドイツ式1

前回は日本式のように表側からの見た目がきれいで、操作がお手軽なやり方を模索して、 W&Tとすべり目を合わせてみたのでした。 今回はお待ちかねのドイツ式。 ドイツ式は日本式と同じグループ2に分けたことからもお分かりいただけるよう、引き返した目は編まないタイプ。 見た目がきれいで作業がシンプルなので、真打ち登場という感じです。

引き返し編み考3~Shadow Wraps

Shadow Wraps というのは余り聞いたことがないかもしれませんが、編地の裏に回る糸を編んで作る方式です。 日本ではよく知られている右増し目、左増し目の要領で裏糸を編むので、 日本のニッターさんにはなじみやすいと思います。 表側から裏側(編地左側)は、引き返しポイントの次の目で、右増し目の最初の半分の作業、つまり1段下の目を表編みすることで、裏に回る糸を作ります。 1.引き返しポイント(ここでは端から5目)の次の目の1段下に右針を入れて表編み 2.左針にかかったままの目は編まず、編み出した目を左針に戻します。 これでおしまい。 続きは編地を裏返して裏編みしていくだけです。簡単ですよね? 段消しするときは同じ目から出ている2目を左上2目一度します。   裏側から表側(編地右側)は、もう少しだけ複雑で、左増し目の終わり半分の作業を行います。 つまり、裏編みで返ってきて、引き返しポイントの次の左針の目は編まずに、左側に1目裏目を編み出します。 1.引き返しポイント(端から5目)の次の目を右針にうつし、 2.1段下の目のてっぺんを左針で引き上げる (裏目の左増し目では2段下ですが、ここでは編んでいないので1段下になります) かかった糸を裏編み。 出来た2目は左針に戻し、編地を裏返して引き返します。 段消しは表側と同じで、同じ目から出ている2目を裏目の左2目一度にします。 仕上がりはこんな感じ。 (編地右側の写真を撮るのを忘れました;) 次回は残りの日本式1、2とドイツ式について研究してみます。

引き返し編み考2~Wrap & Turn 裏側

さて、前回に続きW&Tのチュートリアルです。今回は裏側をマスターしましょう! 今回も「”つ”になる方式」です。 1.引き返し地点まで裏編みする(ここでは端から4目) 2.次の目をすべり目にする。 3.糸を裏側に持って行き、 すべらせた目を左針に戻す。 4.編地を表に返すと、目に糸が巻き付いています。 次の目は、編み糸を裏に戻して普通に表編みします。 裏側の「”つ”になる方式」は、miyayoさんの表現をお借りすれば、「時計回り」に糸を巻いたことになります。 こちらでもすべり目をしてから糸を巻き始めることになります。 段消しは次のように。 1.ラップがかかった目の手前まで裏編み。 2.ラップの裏側下から右針を入れ ラップを左針にかける。 3.ラップとラップがかかっていた目を裏目の左上2目一度の要領で編む。 4.ラップが裏側に隠れます。裏側なので「つ」が逆転した形になります(^^)。 皆さん、Vitamin Dは進んでいますか~? W&Tのセクションに入る前に、練習してマスターしておいて下さいね! アカウントをお持ちの方は、今回のチュートリアルは「ラップ&ターン 裏側2」にまとめてありますのでダウンロードしてお役立て下さい^^。

引き返し編み考1~Wrap & Turn 表側

さて、引き返し編みについて、本編です。 「序」ではいろいろなタイプを試した写真↓をアップしましたが、 Vitamin Dをリリースしたところなので、左から2番目のかけ目式と、右から2番目のW&Tから話を進めたいと思います。 かけ目式というのは、日本式1(かけ目+すべり目)のすべり目を省いたものです。 引き返しポイントで編地を裏返し、日本式ならかけ目をした後にすべり目しますが、ここではすべり目をせず、普通に編んでしまいます。 W&T式はこのかけ目式と糸の運びはほぼ同じ。 針に糸をかけるか、目に巻きつけておくかが両者の違いです。 W&T式がかけ目式より優れていると言うか、楽チンなのは、裏側の段消しの処理をするとき、かけ目と次の目を入れ替えなくてよいこと。 日本のすべり目+かけ目式だと入れ替え ~るのが面倒~ ますよね。 W&Tでは編地の裏側に回る糸が目にかかっているのでこれを一緒に編んでしまえば段消しが出来るのです。 かけ目式は日本の編み物本になら必ず載っている「すべり目+かけ目式」とほぼ同じなので割愛させていただいて(^^)、 W&Tのチュー取り合う(打ち間違えました…)ならぬチュートリアルです。 W&Tには表側、裏側ともに2通りの方式があります。 Ravelryで活躍される日本人デザイナーさん、miyayoさんが皆のギモンをさらっと解決されていますが、 段消しをして裏に隠れる糸が「つ」になるかならないか、がその違いです。 今回ご紹介する表側の方式は「”つ”になる方式」です。 1.引き返し地点(ここでは端から4目)まで編む。 2.次の目を編み糸で「くるむ」(=ラップする~サxンラップのラップですよー)のですが、 まずすべり目にします。 次に編み糸を手前側に持ってきて、 糸を手前側に置いたまま、すべらせた目を左針に戻します。 3.編地を裏返すと糸が巻き付いています。 次の目は編み糸を手前に戻し、普通に裏編みします。 糸の巻き方なのですが、私はすべり目してから巻くか、巻き始めてからすべり目するか(「つにならない方式」の場合)、と覚えていたのですが、miyayoさんはこれを「反時計回り」と言っています。とても覚えやすいですね! 表側の段消しは次のようにします。 1.ラップがかかった目の手前まで編む。 2.ラップの下側から右針を入れ、 続けてラップがかかっていた目に入れ、 2目一度の要領で表編み。 3.ラップが裏側に隠れます。 裏から見ると隠れた糸が「つ」の形になっています(右から4目め)。 当店のアカウントをお持ちの方は、チュートリアルファイル「ラップ&ターン 表側2」にまとめてありますのでダウンロードして下さいね! さて、「”つ”になる方式」と「”つ”にならない方式」、どちらが正解ということはないと思います。 miyayoさんの最新作 Lin-Lin Shawlは、糸が太いので「”つ”になる方式」の方が裏がスッキリするとのことですが、「”つ”にならない方式」は、糸によっては逆にねじれた目が目立たなかったり。。。 糸との相性もありますので両方試してみて下さい。 (「つにならない方式」は、糸を手前に持ってきてから、右針を左から入れてすべらせます) 長くなりましたので、裏側のチュートリアルはまた次回! あ、ちなみに糸はMalabrigoのSilky Merino、色はLondon Skyです。 応援お願いいたします♪

引き返し編み考~序

皆さんこんにちは。 Vitamin Dリリースをお待ちいただいている方には肩透かしになってしまって申し訳ありませんが、 今回はちょっぴり硬派な話題です。 皆さんもご存知のとおり、Vitamin Dにはラップ&ターン(W&T)方式の引き返し編みが使われています。 個人的に現在編んでいるHeidi KirrmaierさんのChance of ShowersにもW&Tが使われていたり、 miyayoさんとW&Tの糸の巻き方でいろいろと教えていただいたり、 クッキーのママさんにテストしていただいているBaju Bakauで新しいドイツ式というのを知ったりと、 最近引き返し編み三昧で、いろいろと考える機会があり、ちょっとまとめておこうと思いました。 数回になると思いますが、おつき合いいただければ幸いです。 まずは名の知れた方式を実際に編んで試してみました。 左端から3目で始め、3目ごとに引き返しています。 左からドイツ式(German)、かけ目式(YO)、日本式その1(かけ目+すべり目)、日本式その2(すべり目のみ)、W&T、Shadow Wrapsです。 ここでは最後のShadow Wraps式の引き返し編みが終わって、これから段消しに入ろうというところ。 下の写真は段消しが終わって、裏から見たところです。 これから多分数回にわたって思ったことをいろいろとごちゃごちゃ書いていく予定です。 W&Tやドイツ式のチュートリアルも追ってアップしますね。 次回はVDのリリースです!応援よろしくお願いしますm(_ _)m。