しばらく前からなるべくローカルなヨーロッパの毛糸を買う、という掟を自分に課しています。
ヨーロッパの糸と一口に言っても、ウール自体をヨーロッパで調達し、洗浄や紡績といった製造過程までをヨーロッパで行う糸もあれば、ウールはオーストラリアや南米などで調達し、製造過程のみをヨーロッパで行ったものもあります(一般のメーカーはこちらがほとんど)。
そしてできればウールから糸になるまでをヨーロッパで手がけた糸を買いたい、と思うと選択肢が非常に狭まってきます。
それでも最近、「ほぼ」ヨーロッパ産の糸を買ったので、今日はそのご紹介です。
買った糸はSnældan Nappað tógv 3tr(一体何と読むのでしょう)。タイトルどおり、フェロー諸島の糸で、英語ではシンプルにSnaeldan 3-plyとして売られています。
でもフェロー諸島ってどこにあるのでしょう?そしてフェロー諸島の羊って???
そう疑問に思って調べてみました。
まずフェロー諸島。地図を見たら、イギリスとアイスランドの間にぽっかり浮かんだ島々です。現在はデンマークの自治領(時々フランスのサッカーチームと対戦しているので国に近い扱いなのかも)ですが、その昔ヴァイキングたちが住みついた土地。人口より羊の頭数の方が多いらしく、昔から牧羊が盛んで、フェローとは羊を意味するという説があるそう。
そしてフェローシープは、北欧短尾(ショートテイル)種という、フランス以北に分布している尻尾の短い羊の一種。アイスランドやシェットランドの羊もこの仲間です。ヨーロッパに古くから(鉄器時代とか)いる原始的な種類で、アイスランドやフェロー諸島にはヴァイキングが連れて行きました。厳しい自然条件にも耐えられる羊ですが小柄なので肉、毛の生産性がその分低く、大陸ではもっと体格の良い種に取って代われるようになりました。今ではアイスランド、フェロー諸島やシェットランド島などの、周囲から「隔絶」された地域で生き残っているそう。短い尻尾以外には、ダブルコートという2種類のウールが特徴で、外側はガードヘアと呼ばれる強(コワ)い毛に覆われ、その中に柔らかいダウン様の毛が生えています。
今テストしていただいているロピセーターGamaldagsは、naoさんはレットロピーで編まれていますが、アイスランドでは伝統的に2種類の毛を両方使って糸にします。
Snældanは(やっと本題)これと異なり、外側の毛をくしけずって取り除き、それから・・・フォークランドのウールとブレンドして糸を作っているそう。
フォークランドについては以前にもイギリス糸についての記事で書きましたが、イギリス領ではあってもヨーロッパではない。絶対ないと思う。なのでフォークランドウールが入っている糸は買うべきかいつも悩んでしまうのです。でも比較的安価なイギリス糸には入っていることが多く、お財布と相談すると避けるのが難しい。
でも羊の飼育には150年の伝統があり、天敵や病気がない絶好の環境なのだそうで、薬品等の使用が少なくてすむそう。そこまで言われるとね・・・(ポチリ)^^;。
水色以外の糸は無染色です。フェローシープには白だけでなく、グレーや黒の羊がいるのだそうですよ。
ここで情報源をご紹介しておくと、私が頼りにしている本がこちら。
Fleece and Fiber Sourcebookという、羊を飼育しているキャロルさんとファイバー雑誌編集者のデボラさんによって書かれたウール本で、世界中の羊の品種(+毛糸の材料になる動物)とそのウールの性質について詳述しています。
スピナー向けなので私にはレベルが高すぎるくらいな本ではありますが、ウール好きなら満足すること請け合いです。こちらのエントリーでもすでにご紹介してました^^;。
(画像はWorderyというイギリスに本社があり、axaxonと違ってイギリスに税金を納めているオンライン書店にリンクしています)
Snaeldan自体については、The Island Wool Companyというオンラインショップについて詳しい情報がありました(イギリスの卸みたい)。
さて本題に戻ると、実はこの糸Gamaldagsを編もうと思って購入しました。
レットロピーはお人形のテオドラちゃんやそのワンちゃん等を編むのに使ったことがあるのですが、個人的に着るにはちょっと難しいのです(ニッターなんだけれどチクチクは苦手-_-;)。
娘用と自分用を編むつもりなのですが、左側の2色(2番と3番)がそれぞれのメインカラーです。自分用の3番のスワッチを編んでみました。
編んでいるときは割りとパサパサしていて、素朴な感じの糸だったのですが、水通しをすると大変身!糸が膨らみ、ふんわり柔らかくなりました。
このシルバーグレー、大好き~😍
この糸は、新しくオープンしたフランスのオンラインショップ Laines des îles(島々の毛糸)で購入。フォークランドだけは例外ですが、北ヨーロッパの島々の毛糸に特化したショップで、フランスでヨーロッパ産の糸を買いたい人には力強い味方ですよ(30日までオープニングセール中♪)。
Snældanは3-plyがDKからWorsted(並太)クラスの糸で、他にも極細の1-ply(シングルプライです)、中細の2-ply、極太の5-plyという展開。これからもぜひリピートしたい糸です。
フェロー諸島の毛糸を買うなんて夢にも思わなかったので、ショップをオープンしてくれたYasminさんに大感謝です!
さて、後は色合わせだ~。
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